1977年(S52)刊行の明学体育会報は学院創立100周年および体育会発足25周年記念号で、部創設のいきさつやエピソード等を含んだ各部紹介がメインテーマでした。
自動車部紹介文は当時主将だったボクの役目で下記のような内容を書きました。
中にも書いていますが1970年代は我が明学自動車部は競技成績では全盛期でした。
かたく稚拙な文章ですが電子的備忘として掲載しておきます。
(ちなみにこの文はGoogleドライブのアップロードした画像ファイルをOCRとして Googleドキュメントエディタ形式に変換する機能を使いました。ものすごく便利ですよ、おすすめ!)
自 動 車 部
自動車部が創立されて、 二十余年、四半世紀の年月を数える歴史を持つ。
創立当時はまだまだ自動車というものは一部の人々のいわゆるステータスシンボルであった。
しかし、モータリゼーションの発達はめざましいもので、現在では車なしの生活は考えられないまでになっている。
それと並行して、自動車の持つメリットと相反する諸問題が顕存化してき。
まず、自動車のまきちらす排気ガスによる大気汚染問題、オイルシィックを契機にしたエネルギー問題、交通事故、多ずぎる車による交通問題等なんと数多くの問題をかかえていることか!
われわれ自動車部は、これらの多数の問題点をもつ自動車を活動の手段として使用しているのである。また、こよなく車を愛する者の集まりである。
車社会が大きく変化してきたとともに自動車部も大きく変わってきた。
創立当時、まだもの珍しいものであった車。車に乗りたい、 免許を取りたいと思って入部する部員も多かった。が現在では、モータリゼーションの発達が車を日常化したために、車に対する興味が半減し、わざわざ自動車部に入ってまで車に接しようとしなくなったためか、部員数が減少の傾向にある。
自動車部の活動における車とは、スポーツの手段なのである。サッカーのボール、 テニスのラケット等と同じなのである。サッカーの選手がボールを自在に操るように、われわれは自動車を自分の意志どうりに操ることに 無類の喜びを感じるのである。
一般に行われているモータースポーツいうと、レースやラリー等を思う人が多いと思う。昨年、自動車レースの最高峰であるF1グランプリが日本で初めて開催された。
しかし、学生スポーツとしての自動車部の行う競技は、一般のモ ータースポーツとはまた趣を異にしている。
フィギアと呼ばれる運転技術を競うものがある。これが体育会自動車部というものを可能としている最も大きなものである。車というものは、走っている時はハンドルはあまり重く感じないものであるが、 一時止まってハンドルをきろうとしてもなかなかきれるものではない。
フィギアとは、人の歩くくらいの速度で車を動かすため、相当の体力と持久力が必要となっ てくる。また、車が通るか通らないかくらいの狭くて複雑なコースを脱輪したり、接輪したりしないで、しかも決められた時間内に他よりも早くゴールしなければ勝てないのである。
この競技に勝利を収めるべく、われわれ自動車部は、車のことを知り、体力をつけ、精神力を養う努力を重ねている。
本年度全関東フィギア大会において、わが明学は男子準優勝、女子優勝、個人三位という素晴らしい成績を収めた。
もう二三自動車部の行っている競技について述べさせてもらうと、先に車を乗りこなすには車を知ることが必要であると述べ たが、車を知ること、すなわち整備技術の修得である。それは単に知識だけではなく、古い部の車をまともに動かずために必要欠くべからざるものである。そして日頃 の整備技術を競うものとして、整備大会というものがある。
次に耐久走行大会というもの、ダートトライアルというものがある。
簡単に 説明すると、耐久走行とは、富士スピードウエイを使用し、レース化するのを防ぐためサーキットを一 周する上限時間を設け、コースを五〇周くらい走行して義務づけられたタイヤ交換やプラグ交換等のピット作業と、部車の耐久性を競うものである。
ダートトライアルとは、舗装されていない悪路にコースを設定してより早く走る競技である。一般の走行とちがい、横すべりやジャソプ、あるいは運転を一つ誤まれば横転するようなこともある。より高度なドライビングテクニックと経験が必要となる。
以上、説明した四つの競技が全関東総合成績に関係してくるものである。
優勝すると三十点、以下二位二十九点、三位二十八点とポイントが与えられ、四つの総合点で全関東の 総合成績を決定する。
我自動車部は、七十三年度に男女共総合優勝し、昨年度も男子が総合優勝、学内でも体育会の最優秀クラブ賞を二度もいただいた。この栄誉と創立以来、諸先輩方の築いて下さった伝統を今後とも発展させ、自動車部を存続させていかなければならない。
また、先にあげた車の持つ反社会的な面に対しても決して目をそらさず、自動車部員として恥ずかしくない考えとそれに基づく行動をとることが大事であると思う。
今年で七年目になる交通遺児育英募金や、交通問題に関する調査、シートベ ルトキャンペーンなど学連とともに協力して、積極的にそれらの運動に参加している。
また一般ドライバーの模範となるべく、日常の運転においても自分は自動車部員なのだという気持ちを忘れずに努力しているつもりである。そして自動車部員が模範的交通人であることで、交通社会に一つの示唆を与えることができればと思うのである。
最近、暴走族と呼ばれる一部の若者が車を使用して乱行を働いているというのを見るのは、自動車を正しく使い、ルールを守りスポーツとして自動車を愛する者にとっては、心痛いことである。
まして我国において、 モータースポーツはまだまだ一般の人々の理解を得ているとは思えない。一つのスポーツとして理解してもらいたいと思う。
最後に、一つの目的に向かって部員一同、一致団結し、なおかつ自己をみつめ鍛え励むことは、他の体育会各部と同じである。学院創立100周年を迎かえ、体育会全体としてこれを機にさらに発展していくために、共に努力を惜しまないつもりである。